はじめに
あなたは、「子どもの貧困」と聞いて、何を思い浮かべますか?
開発途上国や紛争地域に住む子どもたちは、貧困のため飢餓に苦しんでいます。しかし、あなたの身近にも、子どもの貧困は拡大し続けている現状があることを知っていますか?
貧困とは、「絶対的貧困」と「相対的貧困」が、存在します。
国家規模で、衣食住がままならない「絶対的貧困」は注目されており、世界的に支援活動が行われています。一方、その国民の標準的な所得の半分以下で生活している人たちの「相対的貧困」については、あまり注目されておりません。
2008年10月にOECD(経済協力開発機構)が、日本人には衝撃的な発表をしました。
OECD(経済協力開発機構)が2008年10月に、世界の子どもの相対的貧困率を公表したところによると、OECD加盟国を中心とする先進30カ国の中で、日本の相対的貧困率は、OECD諸国で最も高い部類に属し、メキシコ、トルコ、アメリカに次ぐ、世界4位の格差社会と指摘されました。
かつては、1億総中流社会といわれた日本が格差社会上位国になっています。このことについて、OECDは危険な状況であると強く警鐘を鳴らしています。
特に子どもがいる現役世帯のうち大人が1人いる世帯の相対的貧困率が加盟国中最も高くなっています。こうした指標等から、ひとり親家庭等、大人1人で子どもを養育している家庭において、特に経済的に困窮しているという実態がうかがえます。
「他国と比べると日本には貧困層はあまりいない」と思っている人も多いように思いますが、実はそうではありません。日本の社会では、しばらく前から、さまざまな側面での二極化が進行し、貧困率も上昇し、拡大し続けています。
OECD加盟国を中心とする先進30カ国の「子どもの相対的貧困率」の中で、日本は、ひとり親の相対的貧困率が高く、有職(働いている)ひとり親の相対貧困率は58%で、30ヶ国中、ワースト1位です。ひとり親世帯の親は、非常勤・パート労働者が多く、低賃金で子どもを養育している現状を表しています。
子どもの貧困連鎖を断ち切るために、まずは、ひとり親世帯および低所得世帯の親の就労支援を行い、経済的自立を支えることが、国と地方自治体の責務であると、厚生労働白書に発表されています。
【子どもの未来を考える会】では、日本の子どもの貧困問題解決に取り組んでいきます。